眼科
眼科
眼に関する様々なお悩みに対して、患者様にご負担のないよう必要最低限の検査をして医師より治療方針や薬剤について丁寧にご説明させていただきます。
ゴロゴロ・ショボショボ・重い・しみる・充血・涙や目やにが出る・疲れる・見えにくいなどの症状や、学校検診・健康診断・人間ドックで眼科受診をすすめられた際にもご相談ください。
当院では下記の検査が可能です。
器械を用いて、患者様の眼の形や近視、遠視、乱視の大まかな度数を調べます。そこから裸眼視力(何もつけていない状態の視力)と矯正視力(検眼レンズで矯正した状態の視力)を測定します。必要があれば、お持ちのメガネが合っているかや、コンタクトの度数が合っているかも確認させていただきます。
眼の状態を調べる器械と同じ器械で、眼の表面に軽く風を当ててその抵抗を確認して正常値かどうかの判断をします。まつげやまぶたに当たったり苦手な方もいるので上手く測定出来ない場合は別の方法でお調べします。
特別な指標を用いて見え方に異常がないかどうかを調べます。
涙に反応する試験紙を用いてドライアイの有無を調べます。
視力検査をもとに、お持ちの眼鏡が合っていない方や新しく眼鏡を作りたい方に適切な度の眼鏡の処方箋をお渡します。処方箋をお好きな眼鏡屋さんにお持ちいただけば、こちらで合わせた度数の眼鏡を作ってもらえます。作製後、きちんとできているかどうか確認もさせていただきます。
今、お使いのものの処方でも新しいレンズを試したい方も、お気軽にご相談ください。眼科受診をせずに同じコンタクトを長年使い続けていると、いつの間にか度数が合わなくなっている方もいらっしゃいます。
医師の使う顕微鏡で眼の状態を診察させていただきます。眩しいですが、眼には害がありません。
眼底に疾患がないか調べる検査です。通常の状態だと簡易的にしか調べられないので、必要な方には瞳孔を開く目薬を使って眼底をくまなく調べます。
※目薬を使う場合には、点眼してから20分ほど効くまでお待ちいただいて、十分にお薬が効いてから検査になります。目薬の効果は5〜6時間残り、その間はピントが合いにくくなります。近くが見づらく眩しくなるため、パソコン等の操作がしづらくなったり、また、自転車やお車の運転はできません。
涙の通り道が狭くて、涙があふれてしまう方に生理食塩水を涙の通り道に通して、流れているか確認します。何回か繰り返すことで涙が自然にあふれるのを改善することができます。
学校検診などで色覚検査の再検査をすすめられた方や、色の見えにくさ、就職試験で必要と言われた方に行います。ごく簡単な検査で負担はほとんどありません。
目の充血や目やにや涙がひどい場合、細菌性の結膜炎かウイルス性の感染力の強い結膜炎かを鑑別する検査です。
指先から少量の血液を採取して8種類のアレルゲンを調べるイムノキャップラピッド、採血により39種類のアレルゲンを調べるView39の2種類があります。どちらも保険診療でできます。
中高年になると、様々な身体や眼のトラブルが起こってきます。そのままにしておくと視力が障害され、最悪の場合は失明という事態になりかねません。
40歳を過ぎたら眼科専門医による定期検査を受け、眼の健康をチェックしてください。また、こちらのグラフにあるように、失明原因の第一位は緑内障です。眼の定期健診は身体の健康診断と共に必要不可欠です。
それぞれの疾患については下記をご覧ください。
春先や秋口になると学校内で、視力検査が行われます。これは視力低下を早期発見、早期治療のために他の身体的な検査と同様に行われる検査です。視力検査の結果を知らせる学校の報告書には視力の具体的な数値は書かれていません。
見え方の表示を視力の数値のかわりに「A」「B」「C」「D」の4つの記号で行うようになりました。学校ではこの4段階の表示を次のように判断して教育上の配慮を行っています。
ただ、学校内での検査なので緊張してしまうお子様や上手く答えられずに検査が終わってしまい、実際はもう少し見えていたり、逆に眼を細めて頑張って見ていることで良い結果が出てしまう場合もあります。
そんなときには、眼科での視力検査は信頼性が高いです。学校検診で眼科受診推奨の用紙をもらったときには、是非一度眼科を受診していただいて本当の視力を調べてみてはいかがでしょう?
花粉症とは、スギやブタクサなどの植物の花粉が原因で生じる季節性アレルギー性疾患の総称です。毎年増加傾向にあり、最近では国民病といわれるほど小児も含め国民のおよそ25%が花粉症にかかっていると思われます。また、その時期ではないのに眼の痒み、充血、流涙などの症状の出るアレルギー性結膜炎もあります。
★コンタクトをつけたまま点眼できる抗アレルギー剤の点眼薬もあります。
注射はしません。迅速に結果がわかります。指先から少量の血液を採取し、20分お待ちいただくと結果がわかります。お子様でも泣くことはほとんどなく安心して検査を受けていただくことができます。
採血によって39種類のアレルゲンの判定ができます。採血結果は血液を検査機関に依頼するので1~2週間後にご受診の際にお渡しします。
ドライアイとは涙の量が減少したり、涙液の質が低下することによって角膜や結膜に障害や様々な症状(充血、異物感、ショボショボ)を引き起こす疾患です。ドライアイは涙の量が保たれていても眼の表面に定着する力が弱まることを言います。
最近では、スマートフォンやパソコンなどを長時間使用する方が多いのも影響していると考えられます。また、エイジング(加齢)と共に多くなり、傾向的には性別で男性に比べ女性に特に多いとも言われています。ストレスによっても涙の分泌は減ってしまいます。膠原病や自己免疫疾患が原因の場合もあります。女性の方がコンタクトレンズ使用者が多い傾向も原因の一つと思われています。ドライアイは完治を目指すのではなく、コントロールする病気です。信頼できる医師のもとで、ご自身に合った治療法を見つけ生活の質を落とさないようにするのが重要です。
★コンタクトをつけたまま点眼できる治療点眼薬がほとんどです。
市販の温感効果のあるアイマスクや蒸しタオルで目の周りを温めると楽になる方がいらっしゃいます。
集中するとまばたきが少なくなってしまうので意識的にまばたきをして1時間作業したら10分ほど眼を閉じて、眼を休めてください。
乾燥する季節や、エアコンを使って室内の湿度が低くなるときは、室内の湿度を適切に保つことでドライアイの症状が緩和されやすいです。
生まれたての赤ちゃんの視力は目の前で動くものがわかるぐらいですが、毎日の生活でものを見ることによって情報が入り発達していきます。
1歳で約0.1~0.2、2歳で0.2~0.4、3歳ごろになると0.5~1.0くらいまでの視力になります。
ただ、3歳のお子様の見え方はまだ不安定で、大人と同じように安定して見えるようになるのは就学時頃といわれています。
3才児健診や、就学時健診で眼科受診を指摘された時、またはお子様がお顔を斜めに動かして見る、TVにどんどん近づいていく等、気になることがあれば早めの検査が視力発達の妨げになっている症状の治療に繋がります。
眼球の奥行きやその他の原因によって網膜の手前で焦点が合ってしまうので、ものを見た時にボヤケて見えてしまう状態です。
眼球の奥行きやその他の原因によって網膜の後方で焦点が合ってしまうので、ものを見た時にボヤケて見えてしまう状態です。
眼の表面がラグビーボールのような縦のカーブと横のカーブが違うことで焦点が合いにくくボヤケて見えたりダブって見えたりする状態です。
何らかの理由で視力の発達が妨げられると眼鏡をかけても十分な視力が出ない眼になり、このような場合は弱視を考えます。
就学時健康診断では左右のどちらかの眼の視力が不良な場合が時々健康診断で見つかることがあります。反対の方の眼が良く見えていることが多いので、周囲の方も気づかないこともあります。
遠視や乱視が原因のことが多く、網膜上の黄斑部にピントが合うよう治療目的のために眼鏡を装用していただくことがあります。
例えば、10歳ころになってしまうと視力治療が手遅れになってしまうこともあります。これはこの時期ではないと正常な視力が生まれてこないからです。成長に伴って遠視等は徐々に軽減していく可能性もあり将来的には眼鏡が不必要になることもあります。
子どもの眼球のサイズは大人よりも小さく、小学校高学年の身体が成長する時期に眼球も成長して、そのサイズが大きくなって近視が進むことが多いようです。
また、このような時期に近くを長く見すぎると、一時的に近視の状態になる仮性近視(偽近視)がおこることがあります。
この時にすぐに眼鏡を決定せず、眼の調節機能を和らげる点眼薬(ミドリンM、ミオピン)を用いて治療することもあります。
★ミドリンMは点眼すると4~5時間ピントが合いにくくなるので就寝前に点眼していただきます。
小児はもちろんのこと大人の方でもきちんと適性の眼鏡装用をお勧めします。
良く見える眼鏡が合っている眼鏡とは一概に言えません。
合っていると思っていても実は度が強すぎて(過矯正)、そのせいで疲れや肩こり、頭痛などの症状の誘因となることがあります。
また、眼科で視力測定をすることによって、大人の場合は自覚症状のない病気が見つかることもありますので眼科での眼鏡処方が大事です。
★眼鏡処方の際のご案内
眼鏡処方は、度数の調整や見え方、かけられるかどうかの様子を確認しつつ行いますので、お時間に余裕を持ってお越しください。
色覚異常は日常生活上、ほとんど不自由がありませんので、小さいうちは本人も親御さんも気づきません。
日本人では男性の20 人に1 人、女性では500 人に1 人の割合で色覚異常の人がいますが、色覚異常の保因者は女性の10 人に1 人の割合になります。
例えば、男女半々の40 人のクラスだと、色覚異常の男子が1 人、保因者の女子が2 人いることになります。色覚異常は、それほどまれなことではありません。
色覚異常は治療で治るというものではありませんが、周りの社会は色覚異常に配慮した環境に変わりつつあります。ひとつの個性としてとらえることがご本人の未来の可能性につながります。
就職に際して問題になる場合については、自動車運転免許は、色覚異常があってもほとんど問題なく取ることができます。また就職に際しても、よほど特殊な職場でなければ問題はおこりません。
しかし、非常に小さな信号灯の色の判断を、瞬時に求められるような航空機のパイロットや鉄道運転士、船舶航海士には残念ですが適性がありません。
就職する際には、具体的に仕事の内容を調べておくことが大切です。
★当院では、石原式色覚検査、パネルD-15などの検査を行っております。
色覚異常のスクリーニングには通常、「石原色覚検査表」が用いられます。スクリーニング検査で色覚異常と判定し、次に、そのタイプを調べます。
程度分類にパネルD-15テストが使われます。このテストをパスすれば「中等度以下の異常」、パスしない場合は「強度異常」と判定されます。
コンタクトレンズは直接眼に入れるものなので医療機器扱いとなり、眼科医のもとで定期的な診察を受けつつの使用がご自分の眼の健康を守るためにも大事になります。
眼の状態を確認しないまま、コンタクトレンズを使用し続けてしまうと失明に至る恐れもあります。
初めてコンタクトレンズをご希望の方には、丁寧にご説明させていただき、ニーズに合ったコンタクトを処方いたします。
コンタクトレンズは酸素透過率の高いシリコンハイドロゲル素材の使い捨てレンズをはじめ、乱視用、遠近両用レンズなどの処方もしております。
現在お使いのものが希望の場合は、取り扱いコンタクトレンズについてお問い合わせください。
★コンタクトレンズ処方の際のご案内
・コンタクト処方には、度数の調整や装用感を確認しつつ行いますので、診察終了時間の1時間前までにご来院ください。
※当院ではハードコンタクトレンズの処方はしておりません。
現在の日本では、40歳以上の20人に1人では緑内障と言われていますが、緑内障の初期段階では自覚症状はほとんどありません。
健康診断や人間ドックによる「視神経乳頭陥凹拡大」の指摘があった方やご家族に緑内障の治療をされている方がいらっしゃる方、近視の強い方は眼科での精密検査をおすすめしています。
自覚症状が出はじめたときは、緑内障の症状が進行している場合があります。
早期発見、早期治療が大切な病気であり、必要であれば治療(点眼治療)から行っていくのが大切な視力を守ることになります。
緑内障の検査は眼圧検査、眼底検査、視野検査、網膜光干渉断層計(OCT)などを行っています。
また、散瞳して(点眼薬で瞳孔を開いてから)眼底検査を必要とする場合もありますのでお車での来院はお控えください。
白内障とは眼の中にある水晶体と言う組織=カメラでいうとレンズの部分が濁る病気です。その為、白内障が進行すると眼の中に濁った、すりガラスが入ったような見え方になります。
眼の中の組織の変化なので、眼鏡を変えたりコンタクトを変えたりしても濁った見え方は変わりません。
原因で一番多いのは、加齢による老人性白内障です。髪の毛が白髪になるのと同様に徐々に水晶体が白く濁るのです。その他の原因としては、ステロイド剤の長期服用によるもの、外傷性のもの、紫外線を過度に受けたことによるものや先天性によるもの、皮膚病疾患のアトピー性皮膚炎からくるものと色々あります。
原因は様々ですが主な症状として、視力低下、眼の霞み、眩しさ等が挙げられます。
進行具合は人により様々で、健康診断で白内障を指摘されても自覚症状が無いことも多いです。お若くても手術の適応になるほど、視力低下を来す方もいますし、高齢でも手術の必要の無い方もいらっしゃいます。
治療の方法は現在では、点眼薬によるものと白内障手術があります。点眼薬による治療は完治させると言うことではなく進行を遅らせる為の点眼薬になります。
軽度の白内障の方や手術を受けるのを遅らせたい方に処方させていただきます。
点眼をしていても症状の進行による見えづらさで、生活への支障が出るようなら手術のご説明をして適切な医療機関へご紹介します。ご希望の医療機関への紹介も可能です。
加齢黄斑変性とは、モノを見るときに重要なはたらきをする黄斑という組織が、加齢とともにダメージを受けて変化し組織にむくみや出血が起こることにより、視力の低下を引き起こす病気のことです。
症状としては、ものが歪んで見えたり、視力低下、見たいものの中央が見づらい等があります。高齢者や、男性、喫煙者に多い疾患と言われています。
診断をつけるには、眼科にて視力検査や目の奥の組織の断層像を撮影する等、必要な検査をさせていただきます。
瞳孔を開いて眼底の具合を周辺部まで観察する眼底検査も欠かせません。
治療法としては、サプリメントの内服や眼の中に薬剤を注射するか、レーザー治療等が主体になります。
お顔より30cmほど離れたのところにこの表を置きます。
片眼ずつ眼を隠して中心の点を見て、格子状の線がきちんと並んで見えるか確認します。(片眼をつぶらず手のひらで隠したほうが余計な力も入らずより正確に検査出来ます)
図のように線が曲がってみえたり、中心が暗く見えたりすると加齢性黄斑変性の可能性もありますので、一度眼科のご受診おすすめします。
アトピー性皮膚炎に伴って起こる眼の病気には眼瞼皮膚炎(まぶたのただれ、荒れ)、角結膜炎、円錐角膜(黒眼の一部が突出して乱視が強くなる)や白内障、網膜剥離などがあります。
白内障や網膜剥離は視力障害につながる重篤な合併症なので、注意が必要です。
このような眼合併症を伴う患者様は皮膚炎、特にお顔の皮膚炎が重症な方に多く見られます。
また年齢分布では、10~30歳代に比較的多く、思春期、成人になるまで皮膚炎が長引いたり、その時期に重症になったりする時には注意が必要です。
思春期以降に顔のアトピー性皮膚炎が悪化している患者様は、自覚症状が少なくても眼合併症があるかどうか定期的に診察を受けましょう。
暗いところで見えにくい症状はを一般的に鳥目と言いますが、医学的には夜盲といいます。夜間や暗所でものにぶつかったり転びやすくなることで気づく場合もあります。暗いところで眼が慣れるに時間がかかります。
20~40歳代頃に発症することが多く、性別差はありません。数十年かけて網膜の視細胞がダメージを受け、症状が進行していく難病です。
病状が進むと視野のまわりから欠けていき、穴をのぞいているような視界になってしまい、視力の低下や色覚の異常などの症状もともないます。
進行を遅らせる内服薬やサングラスの着用などで経過を診ていく必要があります。現代医学での完治は難しくips細胞を用いた治療法の治験がなされています。
糖尿病網膜症とは、糖尿病が原因で眼の中の網膜という組織が障害を受け、視力が低下する病気です。網膜は、眼の中に入ってきた光や映像を、脳への視神経に伝達する組織で、カメラでいうとフィルムの働きをしています。
糖尿病網膜症は、糖尿病腎症、糖尿病神経症と並んで、糖尿病の三大合併症といわれます。
糖尿病網膜症は、初期には自覚症状はなく、糖尿病の血糖値のコントロールが数年間不良だった時に起こります。モヤがかかって見えたり、煙のようにススが見えたり視力低下を感じて眼科で検査を受けると判明します。
眼科での治療は、網膜に出血などが無ければ内科と連携して血糖値のコントロールをお願いし定期的に眼底検査を行い、経過観察を続けていきます。
網膜に出血が見られたら、特殊な眼科レーザーで出血部位を止血します。網膜以外の部分にまでダメージが及んでいる場合にはレーザー治療だけでなく眼の中に薬液を入れる注射や、手術を行います。
白い壁やを見たときや、明るいところで眼の前に黒い虫のようなものや、透明の泡のようなもの、糸くずのようなものが飛んで見える症状を飛蚊症と言います。
少ない数から沢山飛んで見える方など、人によって症状は様々です。眼球の動きに付いてくる場合もあり、うっとしく感じる方や気にならない方もいらっしゃいます。
眼球の中にある硝子体と呼ばれる透明のゲル状の組織に何らかの原因で濁りが生じ、その濁りが目の奥の網膜に映ることで上記のような症状が起こってきます。大抵の場合は経過観察で済む場合がほとんどですが、網膜剥離の初期症状であったりと大きな病気が隠れている時もあります。
加齢により、硝子体が液化してくることで組織の変性や萎縮で網膜に影などが映って見える症状…眼科検査にて異常が無ければそのまま経過観察で大丈夫です。
黒いものが飛んで見えるのが急に増えたり、大きくなってきたら注意が必要です。眼の奥の網膜に穴が開いてそのせいで起こる飛蚊症の可能性があります。
近視の強い方や、眼を強くぶつけたりした後に起こりやすい症状とされていますが、原因不明で起こることがあります。
調べるには眼底検査をします。万が一、網膜に穴が開いているのが見つかった場合には早急にレーザー治療が必要になります。
★眼底検査…瞳孔を開く点眼をつけて20~30分ほど効くまでお待ちいただき、診察室で眼の奥に光を当てて隈なく調べる検査です。
痛みはありませんが、点眼の効果でピントが合いにくくなるので車や自転車の運転は控えていただくのと、パソコンやスマートフォンも見えにくくなります。個人差がありますが、いつも通りの見え方に戻るまでに5〜6時間程度かかります。
【ヘルペスウイルス性角膜炎】
発熱やストレス、疲労が原因となって成人になるまでに感染していたヘルペスウイルスが活性化して眼に炎症を引き起こします。痛みや異物感、流涙が主な症状です。
ヘルペスウイルスに有効な眼に入れても問題の無い抗ウイルス軟膏や、眼の表面の保護する点眼薬、さらにはヘルペスウイルスの活性化を抑える内服薬を処方して治療します。
【ヘルペス性眼瞼炎】
ヘルペス性眼瞼炎は眼のまわりに水疱を伴う皮膚炎を生じます。部位としては瞼やその上の額部分、頭皮に至ることもあります。
上記の角膜炎と同様の治療をしていきます。
★ヘルペスウイルスは神経節に沿って発症するので、身体中の至るところに病変が現れます。帯状疱疹のように腰や腹部等、口唇ヘルペスですと唇に症状が出ます。当院であれば、皮膚科の同時受診が可能です。
【流行性角結膜炎(はやり眼)】
アデノウイルスによる感染症で、非常に感染力が強く結膜の炎症が顕著です。充血、めやに、ゴロゴロ、耳下リンパ節の腫脹等の症状が出ます。
感染後に角膜に濁りが残ることがあるので、しばらく通院が必要な場合もあります。
治療は抗菌剤の点眼とステロイドの炎症を引かせる点眼を用います。偽膜と言って結膜に異物が発生すると治りが良くないので偽膜の除去も同時に行う場合もあります。
【咽頭結膜熱(プール熱)】
プールの水を介して感染することが多いです。まず発熱から始まり、その後結膜炎の症状で充血、めやに、涙が多く出る等の症状が出ます。
咽頭炎や頭痛、腹痛、下痢なども起こり1週間程度症状が続きます。
治療は上記のはやり眼と同様の治療をしていきます。
※学校保健安全法上の学校感染症の一つで、感染の恐れがなくなるまで出校停止となります。
VDT症候群とは、パソコンなどの液晶ディスプレイやキーボード等の(VDT機器:ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)を使った長時間の作業により、目や身体や心に影響のでる病気です。
★予防方法としては下記のような状態で適度に休みを入れつつ、パソコン作業をしていただくのがよろしいかと思います。
就寝時には部屋を暗くした状態でスマートフォンの画面を見続けるのは控えましょう。脳が休まらない状態で入眠するのは不眠や中途覚醒の原因になってしまいます。
結膜(白眼)が、目頭の方から角膜(黒眼)に向かって徐々に伸びてくる病気です。紫外線が病気の発生に関係しているといわれています。
充血や異物感などがあり、翼状片が角膜の中心近くまで伸びてくると、乱視が強くなって眼鏡などで矯正しても見えにくくなります。
軽度の場合は経過観察ですが、充血や異物感が強くなってくれば点眼治療を行います。翼状片が大きくなって、視力に影響してくると手術が必要です。若い方や翼状片が大きい場合には、手術後に再発することもあります。
暗いところで,眼をつぶっているのに,眼の端の方に光が走るのを感じることがあります。これは眼底(網膜)の端の方で癒着した眼球の中身(硝子体)が網膜を引っ張って生じる刺激によると考えられています。
網膜を引っ張るという物理的刺激が光という感覚として感じられる症状です。大抵は経過観察で問題ありませんが、網膜裂孔や網膜剥離の初期症状のこともあるので、症状が起きたら、一度眼科を受診してください。
網膜剥離は20歳代と40~50歳代に多いと言われています。20歳代の網膜剥離は網膜の委縮性円孔が原因のことが多いです。それに対し、中年以降の網膜剥離は硝子体液化の進行による牽引によって生じる網膜裂孔が原因のことが多いです。
網膜剥離の原因としては近視眼、アトピー等があげられますが、何もない人にも生じます。初期の症状は飛蚊症の悪化や視野の欠損です。
眼をカメラに例えると網膜はフィルムの役割をしています。網膜の一部が剥がれると、その部位に対応する視野が欠損します。
全て剥がれてしまうとほぼ視野が欠けてしまい、見えなくなります。また剥がれている網膜には栄養がいかなくなるため、徐々に網膜の細胞が死んでいきます。網膜剥離の治療は原則的に早期の治療が望まれます。
網膜委縮性円孔や、網膜裂孔等、網膜に穴があいているだけの時には、レーザーによる治療が行われます。穴の周りの網膜をレーザーで焼くことで、カサブタを作り剥がれないように処置をします。
ただし、レーザー治療をしても網膜が剥がれてきてしまうこともあります。網膜剥離に至ってしまっている場合は、レーザーが無効であることが多いため、手術が必要になります。
結膜(白眼)の下にある血管が切れて、結膜の下に出血が広がる症状です。白眼は透明なので血液の色が透けて見えるため、驚いて眼科に駆け込んで来る方が多くいらっしゃいます。
点状の小さな出血や、白眼全体が赤くなってしまうようなものもあります。自覚症状としては眼の赤みのみで、他の症状はほとんどありません。
眼をぶつけた時、強くこすった時に起こったり、何もしていなくても自然に血管が切れてしまうこともあります。
大体が原因不明のものが多いですが、全身性の疾患が隠れていることもあるので、症状が出たら眼科受診をおすすめします。
眼球の組織の中の、虹彩、毛様体、脈絡膜の3つをまとめてぶどう膜と呼びます。その部位に何らかの原因で炎症が生じた場合、ぶどう膜炎と呼びます。
ぶどう膜炎が生じる原因の疾患はたくさんあり、有名な疾患ではベーチェット病、サルコイドーシス等の自己免疫系疾患ががぶどう膜炎を発症しやすいとされています。
ぶどう膜炎の症状は様々ですが、目やにが出ず、見え方に異常がある充血などはぶどう膜炎の可能性があり注意が必要です。炎症が遷延したり、炎症が抑えきれない場合には、重篤な視力障害をきたす場合があります。
原因によりますが、多くの場合ステロイド投与による治療を行います。しかし、感染にともなうぶどう膜炎の場合は抗ウイルス薬や、抗生剤、抗真菌薬を使用することもあります。
心身症とは、日常生活における心理的あるいは社会的なストレスが原因で、身体のどこかに症状が出てくる病気です。例えば、ストレスで胸がドキドキして苦しくなる心臓神経症や、ストレス性の胃潰瘍などが挙げられます。
ストレスが原因で、眼に症状があらわれるのが眼の心身症で、眼心身症とよばれています。眼心身症は大きく分けて、ストレスが原因で自律神経のバランスが悪くなり症状がでてくるタイプと、ストレスが身体の一部に転換してしまうタイプがあります。
眼に転換するタイプには、眼瞼痙攣、眼精疲労、チック、心因性夜盲、心因性視覚障害などがあります。
★眼瞼痙攣…自分の意志と関係なく、両眼のまわりの筋肉が勝手に痙攣し、目が開けにくくなる症状です。眼瞼痙攣の症状は眼に現れますが、原因は眼や瞼ではなく、脳内から正しい指令が伝わらず、眼の開閉が正常に機能しなくなるものです。
★眼精疲労…眼だけでなく全身に疲れを感じる状態を眼精疲労と呼びます。テレビ、パソコン、スマートフォンなどの画面を長時間見たり、メガネやコンタクトの不具合で眼に負担がかかることなどで起こりますが、精神的なストレスが原因になっている場合があります。
★チック…チックは、急に出現する運動や音声が、繰り返し本人の意志とは関係なく出現する疾患で、比較的よく見られる疾患です。眼科的には瞬きが異常に多くなる、強くまばたきをする等の症状が出ます。原因はわかってはいませんが、注意欠陥・多動性障害、強迫性障害に合併することが知られています。ストレスや疲労などで症状が出やすくなることがあります。
★心因性視力障害…ストレスが原因で起こる眼の心身症のひとつです。近視や乱視の矯正をしても、メガネやコンタクトでは視力が出ません。また、検査を行っても眼球自体には異常が見つからないのが特徴です。小中学生に多く見られ0.4~0.6程度の比較的軽い症状を示すことが多く、半数以上の子どもは異常に気づかず、学校の定期検診で見つかるケースが多いようです。男子よりも女子のほうが3倍程度多く発症しています。
また、心因性視力障害は、視野の異常、視覚の異常、夜盲等を伴う場合があります。
春季カタルは、アレルギー性の結膜炎の一種ですが、アトピー体質の学童、特に男児に多く発症し、上眼瞼の裏の結膜に直径1mm以上の凸凹した隆起ができるのが特徴です。
激しい痒みを伴い、瞼の裏の凸凹で角膜障害を伴うと、異物感、眼痛、羞明のため、目が開けられず、視力低下をきたし、登校できないこともある重症なアレルギー性結膜疾患です。
粘液性の眼脂や流涙も同時に起こります。抗アレルギーの点眼やステロイド点眼薬の併用、それでも効果が不十分の場合は免疫抑制薬の点眼を追加します。症状は通年性ではありますが、春や秋に悪化し、冬期に寛解する症例が多いです。
円錐角膜は、思春期に発症する角膜の菲薄化、変形が主な症状の原因不明の疾患です。原因は不明ですが、アトピー性皮膚炎、ダウン症候群に合併しやすいとされています。
角膜の形状変化の為に、不正乱視と近視化が生じ徐々に視力が低下していく進行性の病気です。
視力低下に対してはハードコンタクトを用いて角膜の形状を正常な状態に近づけるように、視力を矯正します。眼鏡では矯正不能な場合が多いです。
進行すると角膜移植手術を行う場合があります。
★上強膜炎…強膜(眼を覆う白く丈夫な線維性の組織)と結膜(まぶたの裏側と白眼部分を覆う膜)の間にある組織の炎症です。
通常は原因不明です。充血、腫れ、眼の刺激感などの症状が現れます。上強膜炎は自然に治ることもありますが、ステロイドの点眼薬を使用すると、症状がより速やかに消失することがあります。
上強膜炎は若年成人に多くみられ、男性よりも女性に多く発生します。炎症は通常、眼球のごく一部にのみ起こり、隆起した部分が赤色、ときには黄色がかった色になります。
このような状態が他の病気の徴候であることはあまりありませんが、ときに、全身の炎症性疾患(全身性エリテマトーデスや関節リウマチなど)がある人や、眼に近い部分に帯状疱疹(たいじょうほうしん)があった人に同様の症状がみられることがあります。
他に現れる症状としては眼の圧痛(押すと痛みを感じる)、刺激感、涙の量のわずかな増加、眩しさなどがあります。この病気は完治する傾向がみられ、再発することもあります。
たいていの場合、上強膜炎の治療は不要です。眼の血管を収縮させる作用のあるステロイドなどの点眼薬により、一時的に眼の赤みは引きます。ただし、このような点眼薬を常用するとさらに赤みが増すリバウンド効果と呼ばれる症状がでますので特別な場合などにのみ使用すべきです。
★強膜炎…重度かつ破壊的な視力を脅かす炎症で,上強膜深層および強膜を侵します。。症状は,中等度から著明な痛み,眼球の充血,流涙,および羞明です。治療はステロイドおよび場合によっては免疫抑制薬の全身投与が必要です。
強膜炎は、30~50歳の女性に最もよくみられ、多くは、関節リウマチ、SLE、結節性多発動脈炎、多発血管炎性肉芽腫症、または再発性多発軟骨炎などの結合組織疾患の方に発症しやすいと言われています。
ごく少数ではありますが、感染症に起因する炎症もあります。強膜炎の症例の約半数は原因不明です。強膜炎は前眼部を侵す頻度が最も高く、びまん性、結節性、および壊死性の3つの形で発生します。
強膜炎は睡眠や食欲が妨げられるほどの重度の疼痛(しばしば深く,刺すような痛みを特徴とする)をもたらします。眩しさや流涙も伴います。
充血による斑点は眼球結膜下の深部にみられ、上強膜炎または結膜炎によるものよりも青紫調に見えます。眼瞼結膜は正常です。
病変は、限局性(通常眼球の4分の1)のこともあれば眼球全体に及ぶこともあり、充血および浮腫を伴う隆起した結節(結節性強膜炎)または無血管野(壊死性強膜炎)を含むことがあります。
後部強膜炎は頻度が低く、充血を起こす可能性は低いですが、霧視(モヤがかかって見える)および視力低下を起こす可能性が高いです。
壊死性強膜炎の重症例では、眼球穿孔および眼球喪失に至ることがあります。結合組織疾患が、びまん性または結節性強膜炎患者の20%に、壊死性強膜炎患者の50%に起こります。結合組織疾患患者の壊死性強膜炎は、基礎にある全身性血管炎の徴候になります。
まれに、強膜炎の軽症例には非ステロイド性抗炎症薬で十分なことがあります。しかしながら、通常はステロイドの全身投与が初期治療となります。炎症が再発した場合は、より長期間の経口ステロイド、または静脈内へのステロイドパルス療法が検討されます。
ステロイドの全身投与に反応しない、もしくは耐えられない場合、または壊死性強膜炎および結合組織疾患を有する場合は、免疫抑制薬の全身投与が適応となりますが、リウマチ専門医との相談の上でのみ実施することになります。穿孔の危険に対しては、強膜移植が適応となることがあります。
★麦粒腫…麦粒腫(ものもらい)とは瞼の汗を出す腺や睫毛の毛根、脂肪が出る部)に細菌が感染し、炎症を起こす疾患です。
麦粒腫は、まぶたの縁が赤くなる、押すと痛む、または瞬きでも痛むといった症状から始まります。次に、触れると痛む腫れものができます。涙目、眩しさ、異物感などの症状が出ることもあります。
腫れるのはまぶたのごく一部ですが、炎症が強いとまぶた全体がぼってり腫れることもあります。腫れた部分の中心に黄色っぽい小さな膿ができることがあります(通常はまぶたの縁にみられます)。2~4日後に破れて、少量の膿が出て治る場合があります。
麦粒腫の中でも、瞼の痛みだけでなくその他の症状が現れるものがあります。まぶたの下が痛み、赤くなり、腫れ、ときに、発熱や悪寒を伴うことがあります。
★霰粒腫…一方霰粒腫は瞼の端にある、マイボーム腺という脂肪が排出される部分に、脂肪が詰まり、肉芽腫(にくげしゅ)というしこりができる疾患です。
霰粒腫は、まぶたの腫れ、軽い痛み、刺激感などが現れます。しかし、これらの症状は数日で消え、まぶたに丸くて痛みのないしこりが残ります。
この腫れは、最初の1週間程度で徐々に大きくなります。ときに、腫れが大きくなり続けて眼球を圧迫し、少し目がかすむこともあります。
霰粒腫は、感染を伴わない炎症ですが、しこりが目立って見た目が気になる場合や圧迫で視界が妨げられるような場合は、しこりに薬液を注射して小さくするような処置をしたり切開手術で中身を出してしこりを目立たないようにします。
眼瞼下垂は、瞼が下がってきて見にくくなる病気です。いつも眠たそうに見えたり、一生懸命眼を開けようと無意識に力が入るので肩こりや頭痛の原因になることもあります。
中には、生まれつきの眼瞼下垂のために弱視の心配のある患者様もいます。
その原因は、上まぶたを上げる筋肉の力が弱くなる、その付着部である腱けんが弱くなる、またははがれたり、穴が開いたりすることによります。症状は見えにくさや、眠そうな目つき、肩こり、頭痛、疲れ、などがあります。
眼瞼下垂は大体三つに分類することができます。一つめは先天性(生まれつき)の眼瞼下垂、二つめは大人になってから起こる眼瞼下垂、三つめは眼瞼下垂のように見えるが瞼を上げる筋肉や腱には異常のない偽眼瞼下垂です。
患者様の症状は共通ですが、その病態によって治療法が変わってくるので、正しく病態を理解しておくことが大切です。
多くの眼瞼下垂に対する治療は手術です。単に瞼を上げる筋肉の付着部が弱くなったり、はがれたり、穴が開いたりしている場合には、その部分を補強したり修復したりするだけですみます。
しかし、筋肉自体の力が弱くなっている場合やまぶたを上げる神経が麻痺している場合には、おでこの力を利用して、眉の部分とまぶたの間にトンネルを作って、そこに人工の素材や筋膜を通してつり上げます。
手術で瞼を上げること自体はさほど難しいことではありません。しかし、形や左右のバランスを整えたり、眼の表面に対する配慮が必要となるなど、眼瞼下垂に対する手術は繊細な手術です。
偽眼瞼下垂では、まぶたを上げる筋肉や腱には異常がないので、下垂となる原因に対する治療を行います。
逆さまつ毛と言われるものには、眼瞼内反と睫毛内皮、睫毛乱生の3つがあります。
★睫毛乱生…まつ毛の生え方が不規則に乱れている為、まつ毛が眼球に当たってしまっている状態です。
眼球に当たるまつ毛の刺激で、ゴロゴロしたり、赤くなったり、メヤニや涙が出ることもあります。
重度の場合は、眼球表面に深いキズが付いてしまったり涙が多く出てしまうので見え方にも影響し、視力が低下します。
★睫毛内反…まつげが眼の外側では無く内側に向いて生えてしまう状態です。眼球に当たるまつ毛の刺激で、ゴロゴロしたり、赤くなったり、メヤニや涙が出ることもあります
★眼瞼内反症…眼瞼内反は上のまぶたや下のまぶたの縁が内側に向いて眼球に当たってしまう状態です。その為まつげが眼球に当たってしまいます。まつ毛全体が眼球に当たってしまうこともありますし、一部分が当たってしまうこともあります。
どの状態でも、数本でしたら眼科の処置台で、眼球に当たっているまつげを抜き必要に応じて点眼薬を処方して様子を見ますが、毛はまた生えてくるので定期的な眼科受診が必要です。
症状がひどく日常生活に影響を及ぼす場合には手術による加療が必要になります。
電球などの光を発するものを見たとき、その周りに虹がかかったような光の輪が見える症状をいいます。
虹視症は、疲れがたまって体力が落ちている時、眼精疲労が進んでいる時に現れやすいです。虹視症は緑内障の発作時に起こる代表的な症状の一つでもあります。
眼球の痛みや充血を伴って光が眩しく虹のようなものが光の周りに見える時は緑内障の発作である可能性が考えられます。
瞳孔とは、眼の中心にある黒目の部分です。瞳孔は、暗いところでは大きくなり、明るいところでは小さくなります。通常、両眼の瞳孔はほぼ同じ大きさで、光にも同じように反応します。
左右の瞳孔の大きさが異なることを、瞳孔不同と呼びます。
瞳孔の大きさがあまりに異なる場合、周りの人からでも見て分かることがあります。しかし、たいていの場合は、医師が診察して初めて気づかれることが多いです。
左右の瞳孔の大きさが異なるからといって、極端な症状が出ることは通常ありませんが、ときに近くの物に焦点を合わせにくくなることがあります。
また、基礎疾患によっては、眼痛、眼が赤くなる、視力障害、まぶたが垂れ下がる、複視、または頭痛などの症状がみられることもあります。
患者様は、こういったより分かりやすい症状のために病院を受診することが多く、左右の瞳孔の大きさが異なることで病院を受診する人はあまりいません。左右の瞳孔の大きさが異なることの最も一般的な原因は以下のものです。
★生理的瞳孔不同
生理的瞳孔不同とは、左右の瞳孔の大きさが自然に異なっていることを言いますが病気ではありません。人口の約20%の方は生涯にわたって左右の瞳孔の大きさが異なり、正常な変化とされています。
このような人では、両眼の瞳孔が光と闇に正常に反応し、症状もありません。
★神経系疾患
大きい方の瞳孔が異常なのか小さい方の瞳孔が異常なのかは、原因によって異なります。大きい方の瞳孔が正常に収縮できないことが多いですが、ホルネル症候群などのように、小さい方の瞳孔が大きくならないという場合もあります。
大きい方の瞳孔が異常であれば、明るい場所にいるときの方が、瞳孔の大きさの差が広がります。小さい方の瞳孔が異常であれば、暗い場所にいるときの方が、大きな差がみられます。
左右の瞳孔の大きさが異なる原因となる眼疾患には、先天性の異常や眼の怪我などがあります。
一部の薬が眼に入ることでも、瞳孔に異常が現れることがあります。眼疾患の治療に用いられる薬を使用した場合だけでなく、他の薬や物質(例えば、乗り物酔いに用いられるスコポラミンパッチ、シロバナヨウシュチョウセンアサガオなどの植物、特定の殺虫剤)が誤って眼に入ってしまうことでも、左右の瞳孔の大きさが変わることがあります。
虹彩の炎症(虹彩炎)や特定の型の緑内障でも、左右の瞳孔の大きさに違いが現れますが、激しい眼の痛みのほうが訴えとしては強いです。
左右の瞳孔の大きさが異なる原因となる神経系疾患には、第3脳神経の病気のほか、交感神経系または副交感神経系(自律神経系)の一部の異常があります。神経の信号は、これらの経路を伝わって瞳孔や、眼とまぶたの筋肉に送られます。
瞳孔に影響を及ぼす神経系の病気がある人には、まぶたの垂れ下がりや、複視、眼球の位置のずれなどの症状もしばしばみられます。
こういった神経系の経路に影響を及ぼす脳疾患には、脳卒中、脳出血(自然な出血または頭部のけがによる出血)のほかに、特定の腫瘍または感染症などがあります。
交感神経系に影響を及ぼす脳以外の病気には、首または胸の上部の腫瘍やけがなどがあります。ホルネル症候群とは、瞳孔の収縮、まぶたの垂れ下がり、異常のある方の眼の周りの発汗減少という3つが組み合わさった症状のことです。
ホルネル症候群は、原因にかかわらず、眼につながる交感神経系が分断されることで起こります。
心配される徴候がみられる場合は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。判別しにくい場合や、その他の症状がある人は、医師や救急外来に連絡してください。
左右の瞳孔の大きさが異なること自体に治療は不要です。しかし、基礎疾患の治療が必要な場合があります。
左右の瞳孔の大きさが異なることは非常によくみられ、たいていの場合は正常な変化です。まぶたの垂れ下がりまたは複視のある人は、重篤な病気を有する可能性があります。
複視とは、1つの物が二重に見えることをいいます。複視は片眼だけで物を見た時にに起こることもありますが(片眼複視)、一般的なのは、両眼で物を見た時に起こる複視(両眼複視)です。
両眼複視の場合は、どちらかの眼を閉じるとなくなります。複視の原因によっては、眼痛、眼球の突出、または筋力の低下などの他の症状がみられることもあります。
片眼複視は、眼の表面から網膜(眼底)へ至る光の伝達が何かの原因によってゆがめられたときに起こります。物が三重以上に見えることもあります。
複数見える像のうち、1つの像は質(例えば、明るさや明瞭さ)が正常で、もう1つの像、または残りすべての像はぼやけたりと質が劣っています。
★片眼複視の最も一般的な原因…
・白内障による眼の中の水晶体の濁り
・角膜の形状によるもの(例えば、円錐角膜といって、角膜が正常な丸い形ではなく円錐のような形になってしまうこと)
・乱視があるのに矯正しないままにしている場合
・屈折異常があると、光が網膜上に像を結ばなくなります。乱視は、角膜の形状がいびつなことで異常が起こる屈折異常です。
・片眼複視のその他の原因には、角膜の傷痕(瘢痕)や水晶体の位置のズレなどがあります。
両眼複視がある場合、両眼の向きが同じ対象物に向いていない可能性があります。向きが正常であれば、それぞれの眼は対象の像を別々に受け取っているにもかかわらず、単一の像にしか見えません。
単一の像を見るためには、両眼が同時に同じ方向に向くようにそろっていなければなりません。両眼の向きがうまくそろっていなければ、2つの像が見えますが、このとき2つの像の質は同じです。
両眼をある一定の方向(例えば、左、右、上、または下)に大きく動かしたときにだけ両眼複視が現れることがあります。
★両眼複視の最も一般的な原因…
・眼を動かす筋肉を制御する神経(第3、4、6脳神経)の麻痺
・重症筋無力症によるもの
・眼の動きが物理的に妨げられること
両眼が同じ方向を向かないことの原因として最も一般的なのは、外眼筋と呼ばれる、眼を動かす筋肉を支配する脳神経の病気です。
特定の筋肉だけが麻痺することもあり、原因が分からないこともあります。分かっている原因としては主に、神経による筋肉の制御を阻害する病気などがあります。
例えば、重症筋無力症、ボツリヌス症、ギラン-バレー症候群などの病気は、全身の筋肉を侵すため、眼を動かす筋肉も影響を受けます。
眼の動きを物理的に妨げるものがあると、両眼がうまくそろわず、複視が生じます。例として、眼窩(がんか)の骨折部に眼の筋肉が挟まって動かなくなることや、バセドウ病という甲状腺の機能が亢進する病気などで異常な組織が眼窩内に蓄積すること、などが挙げられます。
複視の原因には軽いものもありますが、なかには非常に重篤なものもあります。
複視がみられる場合は、特定の症状や特徴に注意が必要です。具体的には以下のものがあります。
複視以外に、筋力低下もしくは麻痺、しびれ、発話もしくは言語の問題、嚥下困難もしくは歩行困難、回転性めまい、頭痛、失禁、運動障害を伴う時は急を要しますのですぐに病院にかかることが大事です。
いずれにしても、複視が現れたら早期に眼科を受診していただき、複視以外の重篤な症状を伴う場合は救急外来の選択も必要です。
結膜弛緩症は、結膜が弛緩した状態です。眼の表面のうち白眼の部分を結膜といい、眼球壁を覆っている半透明の膜です。結膜には適度なゆるみがあり、上目遣いや横を見るような、眼球の動きにも耐えられるようになっています。
このゆるみが平均より強い状態を結膜弛緩症といいます。ゆるんだ結膜は下まぶたに沿っていて、症状が強いときは黒眼(角膜)へかかってしまうこともあります。
結膜弛緩症は眼科で用いる色素薬と眼科医が診察に用いる顕微鏡に付属されているブルーライトで、よりはっきり確認できます。
結膜弛緩症の原因はよくわかっていませんが、加齢やコンタクトレンズの使用とともに増える傾向にあります。
弛緩した結膜は、涙の働きを阻害します。弛緩結膜がひだやシワを形成するために、その間に涙がたまり、外にあふれるので、流涙を生じます。結膜弛緩症の患者様は「涙がよく出る」「涙がこぼれる」などと訴えることがあります。
また、眼の動きや瞬きにともなって、弛緩結膜が過剰に動くため、異物感が出ます。強い痛みではなく、ごろごろする、しょぼしょぼする、何か挟まっている感じがするなど、不快感に近いような症状となります。
弛緩結膜がよく動くことから、結膜の毛細血管が引っ張られて、結膜下出血の原因にもなります。結膜下出血を繰り返す方にはしばしば結膜弛緩症がみられます。
翼状片、ドライアイなども結膜弛緩症と似た症状を起こします。
夏の紫外線は強く注意が必要です。
紫外線が原因で起こりうる眼の病気について挙げてみましょう。
・雪目(電気性眼炎)…海水浴場やスキー場で強い太陽光を長時間浴びたり、保護メガネや防護無しで電気溶接などを行ったことによって眼が直接紫外線にさらされ、角膜の表面が傷つく病気です。
大体6~10時間程度で、充血、ゴロゴロ、涙が出る、などの症状があらわれます。
・白内障…眼球内にあるピント調整の役割をする水晶体という組織が白く濁り、かすみ目などの症状が現れます。
年齢的な変化が大きいとされていますが、過度に紫外線を浴びるのも原因とされています。
日差しの強い時期には、サングラスや日傘などを使う、また溶接などの作業時には顔面を保護することでご自身の眼を守ることに繋がります。
加齢にともなって眼の中の水晶体の柔軟性が衰えて、近くにピントを合わせることが困難になることを言います。
若い頃は、近くを見る際に水晶体に柔軟性があるため容易にピントを合わせることができるのですが、年齢に伴って、水晶体の柔軟性が失われるためにピントを合わせるのに老眼鏡や拡大鏡が必要になります。
もともと遠くを見るのに困らない人は、近くの見えにくさを自覚するのが早く感じますが、近視で眼鏡を掛けている方が眼鏡を外して近くを見るのと同じで、眼鏡で遠くを見やすくしているために近くを見る時には、その眼鏡を外す必要があるのです。
市販の老眼鏡は、一時的に見えにくさをしのぐくらいにご利用いただくようにして、きちんと眼科で検査をして眼鏡の処方箋をご持参の上、眼鏡店でご自身に合った老眼鏡を作製するのをおすすめします。
1つの装置で屈折度(眼の度数)、角膜カーブ(眼の表面の丸み)、眼圧(眼球にかかっている圧)、角膜厚(黒眼の表面の厚み)測定の4つの検査ができる装置です。
遠視・近視・乱視といった屈折の種類や程度、眼圧を測定します。
屈折の度数を測定することで、視力検査や眼鏡処方、コンタクトレンズ処方に必要なデータを得ることが出来ます。
眼圧とは眼球の内圧であり、眼球から脳につながる視神経への負荷を保っている眼内圧のことです。
眼圧の異常値により様々な疾患が考えられる為、非常に重要な検査です。
★移動が少なくて済み、痛みや副作用を伴わない安全な検査です。
眼科検査に欠かせない視力検査を行う装置です。
患者様の表情を確認しながら、視力検査を行います。比較的近距離で検査を行うため、お耳の遠い方でも安心して検査を受けていただけます。
眼底写真などで平面的な情報しか得られなかった眼底(網膜)の状態を断層像で撮影できるので、より詳細な3次元的な病態を捉えられます。
眼底出血や、網膜の病変、視神経の形状を迅速に診断するのに優れた装置です。
緑内障・糖尿病網膜症・加齢黄斑変性・黄斑円孔・網膜浮腫など様々な検査と診断に役立ちます。
視野が欠けている可能性のある方に受けていただく器械になります。
医師が診察の時に患者様の眼に光を当てて観察、検査する装置です。
眼の表面(角膜、結膜)や、まつげの生え際、まぶた、眼球内の水晶体、網膜、視神経の状態を観察します。